考察
スクワットの効能・効果について
- POSTED:
- TAGS:
- スポーツ歯科
スクワットの効能・効果について,各位の研究の見地、並びに解剖学・自律神経・血流的な観点からまとめてみました。
スクワットの解剖学的観点
しゃがむ動作を繰り返すだけで、なぜ健康効果が大きいのかというと、全筋肉のうち60%以上が下半身にあり、人体移動というおおきな働きなどをしているからです。とりわけ、しゃがむという単純に見える動作の場合、股関節・膝関節・足関節など、同時に多くの関節を動かします(多関節運動)。この運動をおこなうために何種類もの筋肉が使われています。
- 大腿四頭筋、太ももの表側にあり、体重がかかっている膝をのばす。大腿直筋・外側広筋・内側広筋・中間広筋の四つをあわせて「大腿四頭筋」とよびます。
- 大腿二頭筋、太ももの裏側にあり、体重がかかっている膝をのばす。大腿骨後面から短頭が、坐骨結節から長頭が起こり、両方が合わされて膝の腓骨上端についている。二つの頭があるので「大腿二頭筋」と呼ぶ。
- 内転筋、太ももの内側にあり、内側方向にしっかり締め付ける。
- 縫工筋、股関節から膝関節にかけて太ももを斜めに走り、ぐらつきを防ぐ。
- 下腿三頭筋、ふくらはぎの筋肉で、床面から立ち上がる作用をする。
- 大臀筋・中臀筋、お尻の筋肉で足をピンとのばす。転ぶのを瞬間的に防ぐ。
- 大腰筋、骨盤の内部にあり、股関節を動かし、大腿を曲げる。
- 腹直筋など、腹部にあり上半身をしっかり安定させる。
- 固有背筋など、背筋の両側にあり、背中を伸ばす。
このほか、足の裏、足の甲、脛、胸、首など、ほぼ全身の筋肉がスクワットで使われます。それだけにエネルギー消費量が高い運動といえます。
これら重要な筋肉は、歩いたり走ったりするだけでは十分に作用しません。スクワットのように膝を90度に曲げ、体重をしっかりかけたときに強い刺激を受け、より大きい筋肉へ変化するのです。
同じスクワット運動をした場合、体重の重い人は消費カロリーが多く、軽い人は少なくなります。また、思いバーベルを使用してスクワットした時に、カロリー消費量が大きく増すことは当然です。スクワットした時に使われる筋肉の種類や量が多いことから、エネルギー消費量が多いことが理解されます。
運動生理学や栄養学の場合、「酸素一リットルを消費すれば5カロリー」と決められているので、ランニングや水泳など、有酸素運動を行えばカロリー消費量が多くなります。
確かに重いバーベル運動などの場合、筋肉に力が入った瞬間に呼吸が止まり、酸素消費量は少ないのですが、運動が終わった後は、酸素を大量に消費します。動作後の時間も計算に加えれば、カロリー消費はぐんと増えます。
最近になり、「酸素負債」という概念が認識されはじめ、無酸素運動でも体重が減らせることが理解されつつあります。特に最近は、無酸素運動と有酸素運動を交互に実行する方法が効率的に体脂肪を燃焼させることに有効といわれるように変化してきています。
特にスクワット動作で使用される筋肉の種類は多く、かつ容量の大きい筋肉が使用されるため、予想以上にエネルギー消費量が多いことが第一に考えられます。運動中のカロリー消費だけでなく、運動終了後のカロリー消費量も含めれば、スクワットに脂肪燃焼効果が期待できることは言うまでもありません。
第二に、大腰筋の脂肪燃焼作用です。下肢と背筋を結合している大腰筋は大きさも大きく、使用する頻度に比例して脂肪をよく消費することが解明されています。骨盤内部にある大腰筋は大腸を動かす作用もしていて内臓脂肪を減らす効果が知られています。
さらに第三として、「呼吸をしながら筋力トレーニングすることは有酸素運動にもなる」という事実です。そのため自分の体重だけでスクワットする方法は「有酸素スクワット」ともよんでいます。酸素消費量が多くなる方法なので脂肪燃焼は促進されるのです。
スクワットの自律神経・血流的な観点
全身の細胞が時々刻々変化しているのと同様に、血圧も常に変化しています。緊張して交感神経が強く働いているときは160以上になることがしばしばあります。運動した時に一時的に200を超えるばあいもあります。仕事が忙しすぎたり、強いストレスを受けることが続いたりしたときも、血圧は高めが続きます。
スクワットを継続することで血圧が下がり、正常範囲をキープしている人が多くいられます。スクワットを継続することにより、体脂肪とくに内臓脂肪が減少したり、ストレスから解放されてリフレッシュした気分になったりするからだと思います。また、運動の最中や終了後に、何度も深く呼吸することも関係します。
なお、血圧は必要があるから自然に高くなると考えられています。180と100が数回超えることがあっても薬を飲む必要性はありません。むやみに降圧剤を飲み血圧を下げると脳の抹消に血液が行き渡らず、認知症になる危険性もあります。
次に「コレステロール値が高すぎると危険」とされる理由は、血液がドロドロになったり、その血液が血管壁に付着したりして、血液の流れが悪くなるためです。動脈硬化が促進され、最悪の場合は血栓となって末端の血流を完全に止めてしまい、狭心症や心筋梗塞といった心臓病、脳梗塞や脳出血といった重大な病気になるからです。
特に高脂血症、肥満、高血圧、糖尿病の四つのうち、どれか一つでもあれば心臓病になる危険は5倍、二つ重なれば10倍、3~4つ重なれば30倍になるといわれています。
高脂血症や高血圧を防ぐためには、適度な運動とバランスの良い食事が重要ですが、「適度な運動」とは「ウオーキング、サイクリング、スイミングなどの有酸素運動を行いましょう。」などと説明している場合もありますが、いまひとつピンときません。
なるべく多く歩くほかに、スクワットは上記で述べたようにカロリー消費量が大きい運動ですから、毎日100回すればコレステロール値が効率よく低下し、大腰筋など骨盤内部の筋肉を動かし、内臓脂肪も減らすのに卓越した効果がありますので、メタボリックシンドロームの予防にもなります。スクワットを日常の習慣にすれば「高血圧」「高脂血症」「糖尿病」などの危険な状態を避けることができることは間違いありません。
- POSTED:
- TAGS:
- スポーツ歯科
症例一覧
- 科学的根拠をもとに行われた
さまざまな症例をご確認ください。