考察

腸内環境・フローラについて

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論文

多種多様な腸内細菌のうち大きく三種類に分けると、「善玉菌」「悪玉菌」「日和見菌」に分けることができます。

善玉菌は腸内フローラ全体の10%前後で、その代表選手は「乳酸菌」(ビフィズス菌、乳酸桿菌など)腸内で有用な働きをする菌です。

乳糖やブドウ糖を栄養源として増殖し、乳酸発酵を行って乳酸や酢酸を作る。腸を酸性に保ち、腸の働きを促し、便秘や下痢を防ぐ。消化吸収を助け、免疫細胞を活性化させたりする。

ビフィズス菌のもっとも大きな特徴は、ヒトの腸内に最も多くすんでいる有用な菌であることです。ヒトの腸内では1~10兆のビフィズス菌がすんでいますが、乳酸菌はその1/10000~1/100以下にすぎません。そのため、ビフィズス菌はヒトの腸内に適した菌と言えるでしょう。また、乳酸菌は糖を分解して、乳酸を多く作り出す菌ですが、ビフィズス菌は乳酸以外にも酢酸を作り出し、善玉菌として働きます。

乳酸菌は、ヨーグルトや漬物などの発酵食品から簡単に体内に取り込むことができるが、ビフィズス菌は食品から生きたまま体内に取り込むことが難しい。

悪玉菌は腸内フローラ全体の20%前後で、その代表選手は「クロストリジウム」(ウェルシュ菌など)腸内で、腐敗の働きをする菌で、ウェルシュ菌は、タンパク質などを原料に、発がん物質や有害物質を作り出す。最近話題になっている「赤身肉」が大腸がんの原因とされているのは、悪玉菌は、肉を多く食べる人に多くみられるためです。

また、悪臭を作りだし、便の臭いをきつくする作用もあります。

腸の中の善玉菌と悪玉菌の割合は、2:1、善玉菌は全体の20%で、悪玉菌は10%、日和見菌は全体の70%。

このバランスが崩ずれ、悪玉菌が全くいなくなると、善玉菌が働かなくなってしまいます。善玉菌が働かなくなってしまうと、食べ物の消化・吸収が上手くいかなくなり、健康維持に必要な栄養分が吸収できなくなってしまいます。

こうした善玉菌の「サボリ」を止めるために存在していたのが、悪役の悪玉菌の唯一の良いところで、悪玉菌は、善玉菌の働かせる役名をしています。

悪玉菌がいてこそ、善玉菌が正しく働き、私たちの健康を維持してくれるのです。

生まれたばかりの赤ちゃんの腸には、悪玉菌が全くいません。善玉菌だけです。母乳を飲んだり、お母さんに抱っこされたりとお母さんと触れ合う中で、悪玉菌をお母さんから貰い、赤ちゃんは、初めて、外部の侵入者を知ることになり、免疫力を獲得するのです。

悪玉菌は、この世に生を受けた赤ちゃんが生まれてはじめ知る悪い菌ですが、その一方で、これから成長していく赤ちゃんを病気から守る免疫力の獲得にも一役かっているのです。

人の腸内環境に劇的な変化が起きるのは、離乳期です。離乳期が、悪玉菌優勢になるか、善玉菌優勢になるかの分かれ目です。

一般的に、2歳になるまでに発症しなければ、アトピー性皮膚炎にはならない、と言われています。この時期までに悪玉菌がいなければ大丈夫で、逆にアトピーの引き金になるには、母親から受け継いだ悪玉菌です。

日和見菌は腸内フローラ全体の70%前後で、「大腸菌」「連鎖球菌」「バクテロイデス」などです。腸内が健康であれば悪さはしないが、悪玉菌が優勢の「腐敗モード」では、悪い働きをする菌です。

健康な人の便には、ビフィズス菌が多く見られ、その割合は全体のおよそ10~30%であります。便秘症や臭い便の人には、善玉菌が少なく、悪玉菌が多く存在しています。日和見菌は、優勢なほうに味方しますから、悪玉菌はその実数よりもはるかに強大な力で腸内を腐敗させることになります。悪玉菌による腐敗は、毒素の再吸収を招き、様々な病気の引き金になる危険性をはらんでいます。

上記にも述べたように、離乳期を境に、いろいろな食べ物を口にするようになると、人の腸内細菌の種類は飛躍的に増えます。そして、腸は常に腸内細菌を選び、育て、その人独自の腸内環境(腸内フローラ)を作り上げていきます。

悪玉菌や日和見菌の数が増えるので、乳幼児時代の善玉菌の勢力は弱まります。そして、加齢とともに善玉菌の分量は下降線をたどり、反対に悪玉菌の分量が上昇カーブを描きます。しかし、現代では実年齢の若さにもかかわらず、腸年齢だけが老化の一途をたどっている人が非常に増えてきています。腸内細菌の状態は日々変わります。同一人物であっても、年齢・環境・食べ物・ストレスなどの要素でどんどん姿を変えていきます。

次に腸内細菌と脳について、一見、腸とは関係ないと思われがちな症状にも、「腸内の腐敗」と「有害物質の再吸収」が原因になっているものがあります。痴呆症は、知能の働きが低下した状態で、脳血管性痴呆症は動脈硬化や高血圧に基づく脳梗塞の多発が原因のひとつであります。次にアルツハイマー病は脳全体が委縮して、神経細胞の脱落などが起こる。神経伝達物質アセチルコリンの流れが悪くなるのも原因の一つである。

痴呆症の老人の便には悪玉菌のクロストリジウムとウェルシュ菌が非常に多い。乳酸菌の投与によって痴呆症の症状が緩和される例も報告されています。

原腸胚(げんちょうはい、英: Gastrula)は、動物の発生の段階の一つの名である。胞胚の後にあたり、脊索動物ではこれに続く段階は神経胚である。原腸が形成される段階にあたり、胚葉の分化が見られるなど、発生の上で特に重要な時期の一つであるが、脳も腸も原腸が分化して形成されるため、腸内細菌が脳に関係することは発生学的にも因果関係があるともいえる。

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